断崖絶壁

競馬。重賞の復習記事、最近の開催の血統傾向、馬場傾向分析についての研究など。亀谷敬正さんのサイト、ブラッドバイアス血統馬券プロジェクトのユーザです(www2.blood-b.com/wp/)。

6月4日 安田記念の復習

1番人気のイスラボニータが飛んだ理由を考えてみると、あらためて勉強になりました。

予想では、先行馬が多く、ハイペース予想。でも、イスラボニータは消せないなあ・・・と思って(3番手▲評価)いたのですが、ペースは的中したのに結果は8着。

安田記念は5F 57.6、上り3F 34.4。RPCI 49.6(TARGET frontier JVではペース評価のための指数であるレースPCI="RPCI"が算出されます)。

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安田記念のラップパターンについて

安田記念の過去10年をみると、RPCIは2016年を除いて~52。かなりの高確率でRPCIが52以下で、スローの上り勝負にはなりにくいレースです。

◆RPCI別集計
集計期間:2007. 6. 3 ~ 2016. 6. 5
----------------
RPCI データ数
----------------
RPCI~36
~44
~52 90.0%
~60 10.0%
~68
~76
----------------

 

そして今年も、同様にRPCIは49.6であり、道中の平均ラップよりも、わずかに上り3Fがかかるレースでした。

イスラボニータの脚質について

イスラボニータ安田記念以前の戦績21戦のうち、重賞19戦についてRPCIによる集計をすると~52(平均~やや速めの流れ)が単回値が低いですが、それほどRPCIによる適性差があるといえるデータではありません。

◆RPCI別集計
集計期間:2013. 8.25 ~ 2017. 4.23
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RPCI 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
------------------------------------------------------------
~52 1- 2- 0- 1/ 4 25.0% 75.0% 75.0% 35 110
~60 3- 3- 4- 4/14 21.4% 42.9% 71.4% 101 148
~68 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 220 110
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しかし、~52で好走した3つのレースは、すべて内枠。凡走した1Rは休み明けでしたが11頭立ての6枠。

外目の枠=5枠から8枠で集計すると、もちろんサンプル数は少ないですが、RPCIが小さくなるほど成績が悪い傾向がみられます。

~52 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0 
~60 1- 1- 3- 3/ 8 12.5% 25.0% 62.5% 47 128
~68 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 220 110

逆に、内の1-3枠で集計すると、1-3枠+RPCIのレースで単回値も最も高いことがわかります。

~52 1- 1- 0- 0/ 2 50.0% 100.0% 100.0% 70 130
~60 2- 1- 1- 0/ 4 50.0% 75.0% 100.0% 260 202

G1を勝った皐月賞が1枠。RPCIは52.3。前走のマイラーズカップ勝ちは8枠でしたがRPCIは55.6。

これらから考えられるのは、イスラボニータのベストなレースパターンは、

・「RPCIが~52とハイペースなら、内枠が良さそう。」

・「~60,~68と明らかにスローで上り勝負なら外目の枠でも好走できるが、勝率落ちることから、外枠自体が得意ではなさそう」

ということ。「馬群で前半できるだけ矯める競馬向き」だといえます。

一方で、過去の戦績をみると、3角で9番手以下だったのは19レースのうち3レースだけ。しかも0-1-2-0とイスラボニータにとっては悪い成績に偏っています。1着になった5レースのうち、上り1位だったレースはなし。2位で2勝、6位以下でも1勝。そもそも上り1位を出したのは19レースのうち1回だけ。

つまり先行しやすく、上りは後ろにいる馬には多少なりとも詰め寄られる傾向があります。

これらのデータからイスラボニータは「前半矯めたほうがいいけど、あまり後ろに位置していると、上り勝負では、より速い上りを出す馬がいてキレ負けするリスクを負いやすい」または、「前半矯めたほうがいいけど、スピードがあるか、気性が前向きなため、自然に先行してしまうため抑え込むのが難しい」かの両方、またはどちらかが理由でしょう。レースVTRでみる実際のレースぶりは、このふたつともの特徴が現れていると思います。

血統的にみれば、イスラボニータは父フジキセキ。スピードのある馬を出しやすい血統。また、母父コジーンはグレイソヴリン系。日本の芝では上りのスピードの持続力をもった馬が出やすい血統。

イスラボニータの前走マイラーズカップは11頭立てとはいえ大外枠から、確かに強い競馬でしたが、前半矯めたスローで、京都芝外回りの坂の下りから、自然とペースが速くなって、そのままゴールまで高速上りで決着するレースというのは、イスラボニータのベスト条件ではないでしょうか。

今回の安田記念でのイスラボニータ

さて、今回の安田記念ではイスラボニータは7番手/18頭とやや前よりの外目。

直線はルメール騎手がコメントしていたように、たしかに進路がなかったのですが、速い流れで先行した馬が止まるレースで、その直後で外に馬を置きながら我慢するレースを選んだ時点で、不利を受けてしまうのは確率的に十分ありえる話。

そしてもう一点、速い流れを追走して、末脚が鈍った面があるのではないか、ということ。過去の成績で、サンプルが少ないながらも、外枠+RPCI~52のハイペースでの成績がいまひとつなことからも、「速い流れを追いかけて、さらに外めを回る不利があっても、直線しっかりと繰り出せる豪脚」なるものがイスラボニータに備わって無かったのではないでしょうか。

 

なお安田記念を1着になったサトノアラジン

過去の戦績のうち、上級条件といえる1000万下~G1での戦績をRPCIごとに集計すると、RPCIが小さい=ハイペースになるほうがより好走しやすい傾向。

~52 3- 0- 1- 1/ 5 60.0% 60.0% 80.0% 164 122
~60 2- 3- 1- 7/13 15.4% 38.5% 46.2% 50 71
~68 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0 130

枠傾向でも明らかに外枠のほうが成績が良かったです。

1-3枠 0- 2- 2- 1/ 5 0.0% 40.0% 80.0% 0 132

4-6枠 2- 1- 1- 6/10 20.0% 30.0% 40.0% 85 62

7-8枠  3- 0- 0- 1/ 4 75.0% 75.0% 75.0% 155 97

そしてRPCI~52+6-8枠は  3- 0- 0- 0/ 3 100.0% 100.0% 100.0% 273 150

10番手以下に位置取る傾向もあるので、ハイペースでもサトノアラジン自身は前半マイペースでゆったり運べているレースも多そうで、「速い流れを追いかけて、さらに外めを回る不利があっても、直線しっかりと繰り出せる豪脚」をもった馬とは言えませんが。

 

まとめ

・ハイペース+外目を位置を取って追走すると脚を無くすのが普通。

・ハイペース+馬群で我慢の競馬だと直線はバテて下がってくる馬を交わすのに不利を受ける確率が高まる。

・RPCI+枠順でも馬ごとの得意パターンが見抜けることがある。

(各馬評価)

サトノアラジン 前述

ロゴタイプ 皐月賞1着時がRPCI 48.0とハイペース。被されない外枠。また行き切ったのも良かった。

レッドファルクス 高速馬場でスプリント寄りの能力が活きた。ダートでも好走しているし、スプリンターズS勝ちが外枠+RPCI 47.7を外から捲り気味に進出して差し切り。"豪脚"的だった。

エアスピネル RPCI 48.2+高速決着の京都金杯勝ち。今回は後方からになったが、休み明けから勝ち負けするタイプ。むしろ前走マイラーズカップ2着の反動も若干ありそうだし、気性をコントロールする必要がある馬。

イスラボニータ 前述